MENU

【2023.4.1施行】無窓居室の歩行距離の緩和について

[jin_icon_calendar]施行日:2023年(令和5年)4月1日

窓がない居室は、建築基準法の規制が厳しくなります。なぜなら、窓がない居室は避難上不利だと考えられているからです。しかし、法改正により、れ相応の区画や設備等を設けることで、窓がない居室であっても建築基準法の規制が緩和されます。

簡単に緩和の内容をまとめると…

[jin_icon_checkcircle]所定の条件を満たせば、無窓居室の歩行距離の制限が、30→40m又は50mになる

[jin_icon_checkcircle]ただし、所定の条件は複雑なので少し使いにくいかも…

[jin_icon_checkcircle]それでも、緩和が有効に使えるケースもある!

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]無窓居室の歩行距離の緩和が追加されましたが、正直に言って、条件も多く少し使いにくいです…だから、万人が使える緩和ではありません!

そこで、緩和の条件に加え、どんなケースなら適用する価値があるのか解説していきます([jin_icon_twitter]sozooro)[/chat]

無窓居室の基本的な内容については以下の記事を確認してください。

[box06 title=”あわせて読みたい”]【無窓居室】採光、換気、排煙、無窓になった場合どうなるか[/box06]

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
[jin_icon_books]著書:増補改訂版 用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社
[jin_icon_books]著書:身近な事例から学ぶ 面白すぎる建築法規 /学芸出版社
目次

法文で改正内容を確認する

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]まずは、改正される令120条の法文について『改正前』と『改正後』を比較してみましょう![/chat]

改正前

[jin_icon_bookopen]令120条1項

建築物の避難階以外の階(地下街におけるものを除く。次条第1項において同じ。)においては、避難階又は地上に通ずる直通階段(傾斜路を含む。以下同じ。)を居室の各部分から
その一に至る歩行距離が次の表の数値以下となるように設けなければならない。

居室の種類/構造 主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られている場合 上欄に掲げる場合以外の場合
(一) 第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は法別表第一(い)欄(四 )項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる特殊建築物の主たる 30  30
(二) 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 50 30
(三) (一)の項又は(二)の項に掲げる居室以外の居室 50 40

⬇︎

改正後

[jin_icon_bookopen]令120条1項

建築物の避難階以外の階(地下街におけるものを除く。次条第1項において同じ。)においては、避難階又は地上に通ずる直通階段(傾斜路を含む。以下同じ。)を次の表の上欄に掲げる居室の種類の区分に応じ当該各居室からその一に至る歩行距離が同表の中欄又は下欄に掲げる場合の区分に応じそれぞれ同表の中欄又は下欄に掲げる数値以下となるように設けなければならない。

居室の種類/構造 主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られている場合 上欄に掲げる場合以外の場合
(一) 第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室(当該居室の床面積、当該居室からの避難の用に供する廊下その他の通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用照明装置及び警報設備の設置状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)又は法別表第一(い)欄(四 )項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる特殊建築物の主たる 30  30
(二) 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 50 30
(三) (一)の項又は(二)の項に掲げる居室以外の居室 50 40

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]内容について軽く解説していきます![/chat]

無窓居室を計画した場合、居室の各部分から階段までの歩行距離は無条件で30mでした。

(引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001595195.pdf

平面的に大きな建築物ですと、どうしても窓がない居室の計画が出てきてしまいます。だからこそ、無窓距離の歩行距離が30mになるということは致命傷になります。

しかし…

[jin_icon_bulb]法改正により、『所定の条件』を満たすことで歩行距離は
無窓居室であっても無条件30mになりません。
(計画によって、歩行距離は40m又は50mになります。)

[chat face=”普通.001-1.jpeg” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]なるほどね!

じゃあ、歩行距離を30mじゃなくす為の条件って何?[/chat]

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]そちらは告示208号に記載されています!

正直に言うと、結構条件が難しいし、厳しいです![/chat]

告示の本文を確認したい場合、以下のボタンを押してください。

[ac-box01 title=”『告示208号』を確認する”]建築基準法施行令(以下「令」という。)第120条第1項の表の(一)の項に規定する避難上支障がない居室の基準は、次に掲げるものとする。

一 次のイ又はロのいずれかに該当すること。
イ 床面積が30㎡以内の居室(病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)又は児童福祉施設等(令第115条の3第一号に規定する児童福祉施設等をいい、通所のみにより利用されるものを除く。)の用に供するもの及び地階に存するものを除く。以下同じ。)であること。
ロ 居室及び当該居室から地上に通ずる廊下等(廊下その他の避難の用に供する建築物の部分をいう。以下同じ。)(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)が、令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けたものであること。

二 次のイ又はロのいずれかに該当すること。
イ 居室から令第120条の規定による直通階段(以下単に「直通階段」という。)に通ずる廊下等が、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを 除く。以下同じ。)で令第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。
ロ 居室から直通階段に通ずる廊下等が、スプリンクラー設備(水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものを除く。)、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のもの(以下「スプリンクラー設備等」という。)を設けた室 以外の室(令第128条の6第2項に規定する火災の発生のおそれの少ない室(以下単に「火災の発生のおそれの少ない室」という。)を除く。)に面しないものであり、かつ、火災の発生のおそれの少ない室に該当する場合を除き、スプリンクラー設備等を設けたものであること

三 直通階段が次のイ又はロのいずれかに該当すること。
イ 直通階段の階段室が、その他の部分と準耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で令第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。
ロ 直通階段が屋外に設けられ、かつ、屋内から当該直通階段に通ずる出入口にイに規定する防火設備を設けたものであること。

四 居室から直通階段に通ずる廊下等が、火災の発生のおそれの少ない室に該当すること。ただし、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は戸で令第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画された居室に該当する場合において、次のイからハまでに定めるところにより、当該居室で火災が発生した場合においても当該居室からの避難が安全に行われることを火災により生じた煙又はガスの高さに基づき検証する方法により確かめられたときは、この限りでない。
イ 当該居室に存する者(当該居室を通らなければ避難することができない者を含む。)の全て が当該居室において火災が発生してから当該居室からの避難を終了するまでの時間を、令和3年国土交通省告示第475号第一号イ及びロに掲げる式に基づき計算した時間を合計することにより計算すること。
ロ イの規定によって計算した時間が経過したときにおける当該居室において発生した火災により生じた煙又はガスの高さを、令和3年国土交通省告示第475号第二号に掲げる式に基づき計算すること。
ハ ロの規定によって計算した高さが、1.8mを下回らないことを確かめること。

五 令第110条の5に規定する基準に従って警報設備(自動火災報知設備に限る。)を設けた建築物の居室であること。

(参考https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000175.html

[/ac-box01]

緩和を受ける為の条件をまとめると…

緩和を受ける為の条件

以下5つ全ての条件を満たすこと

[jin_icon_number1circle]居室について以下2つのいずれかに該当すること(ただし、自力避難困難な在館者が利用することが想定される居室を除く)

・床面積が30㎡以内の居室

・居室及び当該居室から地上に通ずる廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)で非常用の照明設備を設けていること

[jin_icon_number2circle]廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)について以下2つのいずれかに該当すること

・廊下等が、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は令第112条第19項第二号に規定する戸で区画されたものであること

・廊下等と廊下等に面する室にスプリンクラー設備等を設けること(ただし、火災の発生のおそれの少ない室」を除く。)

[jin_icon_number3circle]直通階段について以下2つのいずれかに該当すること

・直通階段の階段室が、その他の部分と準耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で令第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。

・直通階段が屋外に設けられ、かつ、屋内から当該直通階段に通ずる出入口にイに規定する防火設備を設けたものであること。

[jin_icon_number4circle]居室から直通階段に通ずる廊下等が、火災の発生のおそれの少ない室に該当すること。(ただし、区画及び告示に定める式で計算した場合を除く)

[jin_icon_number5circle]警報設備(自動火災報知設備に限る。)を設けた建築物の居室であること。

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]これが、結構条件厳しいです!先にそちらの内容をお伝えします![/chat]

『居室』に関する条件について

[jin_icon_bulb]居室に関する条件

居室について以下2つのいずれかに該当すること(ただし、自力避難困難な在館者が利用することが想定される居室の除く

・床面積が30㎡以内の居室

・居室及び当該居室から地上に通ずる廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)で非常用の照明設備を設けていること

30㎡以内の小規模な居室は緩和の対象に該当し、30㎡を超える場合であっても居室及びその避難経路に非常用照明を設けることで条件を満たすことができます。

[chat face=”普通.001-1.jpeg” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]ところで、自力避難困難な在館者が利用することが想定される居室は緩和が使えないみたいなんだけど、どんな居室?[/chat]

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]具体的には…病院・収容施設のある診療所・入所施設のある児童福祉施設等です!

その他、自力避難困難な在館者が利用されると想定されれば、緩和を使うことは出来ません。(パブリックコメントより)この判断については申請先含め確認をした方が良さそうですね。[/chat]

また、30㎡の居室については間仕切り壁等で明確に区画されている必要があります。つまり、ホールや廊下等の一部分(30m²以下)を居室的に利用する場合、「床面積が30m²以下の居室」には該当しません。(パブリックコメントより)合わせて確認しておきましょう。

また、廊下に関しては採光上有効に直接外気に開放された部分は除かれていますが、この条件は防火避難規定の解説に記載されているものと同様と考えるのが妥当でしょう。合わせて確認してください。

『廊下等』に関する条件について

[jin_icon_bulb]廊下等に関する条件

廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)について以下2つのいずれかに該当すること

・廊下等が、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は令第112条第19項第二号に規定する戸で区画されたものであること

・『廊下等』と『廊下等に面する室』にスプリンクラー設備等※を設けること(ただし、火災の発生のおそれの少ない室」を除く。)

※スプリンクラー設備等…スプリンクラー設備(水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものを除く。)、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のもの

廊下については、区画をするか、区画をしない場合はスプリンクラーが必要になります。また、スプリンクラー設備等を設ける場合は、廊下だけでなく廊下に面する室もスプリンクラー設備等が必要です。

こちらの内容については、パブリックコメント等を参考に、もう少し詳しく解説していきます。

廊下等を区画する場合について

廊下を区画する場合について、いくつかパブリックコメントにより判明していることをまとめます。区画する場合、以下の内容に注意しましょう

・区画する場合、原則として壁を天井裏まで立ち上げることが必要(ただし、天井を不燃材料で造り又は覆われたものとすることを前提に、壁は天井面まで立ち上げたものでもok)

・不燃区画に関しては、第112条第20項及び第21項の規定に基づく貫通部処理は要求されない

・不燃区画について、床の耐火性能等は要求されない

・『木造の下地に、告示仕様の不燃材料と大臣認定品の不燃材料を認定仕様の範囲内で組 み合わせた被覆を施した壁』と『下地を不燃材料で造り、仕上げを木材でしたもの』はそれぞれ「不燃材料で造り、又は覆われた壁」に該当する

廊下等にスプリンクラーを設置する場合について

スプリンクラー設備等は、廊下等だけでなく、『廊下等に面する室』にも必要です。したがって、廊下に多くの室が面している場合、多くの室にスプリンクラー設備が必要になります。

ただし、後ほど解説する『火災の発生のおそれの少ない室』については、スプリンクラー設備は不要となります。これによって、スプリンクラー設備が必要になる室を減らすことが可能となります。

その他、パブリックコメントにより以下の内容が明らかになっているので合わせて確認しておきましょう。

・スプリンクラー設備等には、パッケージ型自動消火設備は含まれない

『直通階段』に関する条件について

[jin_icon_bulb]直通階段に関する条件

直通階段について以下2つのいずれかに該当すること

直通階段の階段室が、その他の部分と準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で令第112条第19項第二号に規定する防火設備で区画されたものであること。

直通階段が屋外に設けられ、かつ、屋内から当該直通階段に通ずる出入口に令第112条第19項第二号に規定する防火設備を設けたものであること。

簡単に言うと、竪穴区画をすればokということです。

廊下等を『火災の発生のおそれの少ない室』に関する条件について

[jin_icon_bulb]廊下等を火災の発生のおそれの少ない室に関する条件

居室から直通階段に通ずる廊下等が、火災の発生のおそれの少ない室に該当すること。ただし、以下の2つの条件を満たした場合を除く

・不燃材料で造り、又は覆われた壁又は戸で令第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画された居室

・居室で火災が発生した場合においても当該居室からの避難が安全に行われることを火災により生じた煙又はガスの高さに基づき検証する方法により確かめられた場合(告示475号)

[chat face=”悩む.001.jpeg” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]廊下等を『火災の発生のおそれの少ない室』にすればいいんだね!

ところで、『火災の発生のおそれの少ない室』って何?[/chat]

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]それは、告示1440号に定められています![/chat]

火災の発生のおそれの少ない室

以下に該当する建築物の部分で、壁・天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料とした室

  • 昇降機その他の建築設備の機械室、不燃性の物品を保管する室その他これらに類するもの
  • 廊下、階段その他の通路、便所その他これらに類するもの

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]単なる廊下では火災の発生のおそれの少ない室に該当せず、内装制限(壁・天井を準不燃材料)も必要なところが、見落としやすいので注意したいですね![/chat]

火災の発生のおそれの少ない室については以下の記事で詳しく解説しています。

[box06 title=”あわせて読みたい”]火災の発生のおそれの少ない室とは?建築基準法上の定義について[/box06]

また、もし廊下等の避難経路部分が火災の発生のおそれの少ない室に該当したとしても、不燃材料で区画し、告示475号の検討を行えば緩和を適用することが可能です。ただ、この告示475号は階避難安全検証法の煙高検証法(ルートB2)で、比較的新しく登場した性能規定です。まだ不明確な内容が多いので、こちらで検討を行うのは少し難しいかもしれませんね。

『警報設備』に関する条件について

[jin_icon_bulb]警報設備(自動火災報知設備に限る。)を設けた建築物の居室であること。

こちらは、単純に警報設備を設けているだけで条件を満たすことが出来ます。

[chat face=”普通.001-1.jpeg” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]これって、緩和を受ける居室にだけ警報設備を設置すればいいの?[/chat]

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]いえ、警報設備は建築物全体に必要です!パブリックコメントで明言されています![/chat]

どんな場合に緩和を適用すべきか?

[chat face=”悩む.001.jpeg” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]正直に言うと…緩和の条件が多すぎて、こんなに頑張って緩和を使う必要があるのかな?と思っていまう…[/chat]

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]そうなる気持ちもわかりますが、特定の条件の場合はこの緩和、使う価値があります!緩和を使うべきケースを確認していきましょう![/chat]

まずは、歩行距離(令120条)が短くなることのメリットを考えてみましょう。

私の経験上、令120条の歩行距離はそんなに計画で問題になる規制ではありません。無窓居室を計画して歩行距離が30mになったとしても、居室から階段が30mを超えることは少ないからです。もし歩行距離が30mを超える場合であっても、内装制限を追加することで40mにも出来ます。さらに言うと、階避難安全検証法を適用してしまえば、適用除外可能です。

むしろ、歩行距離が短くなることで得られるメリットは、『重複距離』(令121条3項)の距離が短くなることです。

重複距離とは、2つの階段までの経路が重複している距離のことです。この距離は、『令120条で定める歩行距離の1/2』です。つまり、30mの歩行距離だった場合、重複距離は15mになってしまいます。15mだと、階段の位置が悪いと結構簡単にNGになります。しかも、重複距離は避難安全検証法で適用除外が出来ない厄介な規制なのです。したがって、重複距離が不足している場合は、今回の緩和を積極的に適用しましょう。

[chat face=”そぞろ.png” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”gray” style=”maru”]重複距離は、緩和も少なく、適合も難しい厄介な規制。こちらには、今回の緩和は有効だと思いますので、ぜひ検討してみてください![/chat]

また、令125条1項の歩行距離(避難階における歩行距離)も緩和の適用により伸ばすことが可能です。しかし、いくつかの条件がありますので、詳細については技術的助言技術的助言を確認するようにしましょう。

まとめ

✔︎所定の条件を満たすことで、無窓居室であっても、歩行距離の制限が、30→40m又は50mになる

✔︎所定の条件とは、以下5つ全ての条件を満たすこと

居室について以下2つのいずれかに該当すること(ただし、自力避難困難な在館者が利用することが想定される居室を除く)

・床面積が30㎡以内の居室

・居室及び当該居室から地上に通ずる廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)で非常用の照明設備を設けていること

廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)について以下2つのいずれかに該当すること

・廊下等が、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は令第112条第19項第二号に規定する戸で区画されたものであること

・廊下等と廊下等に面する室にスプリンクラー設備等を設けること(ただし、火災の発生のおそれの少ない室」を除く。)

直通階段について以下2つのいずれかに該当すること

・直通階段の階段室が、その他の部分と準耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で令第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。

・直通階段が屋外に設けられ、かつ、屋内から当該直通階段に通ずる出入口にイに規定する防火設備を設けたものであること。

④居室から直通階段に通ずる廊下等が、火災の発生のおそれの少ない室に該当すること。(ただし、区画及び告示に定める式で計算した場合を除く)

警報設備(自動火災報知設備に限る。)を設けた建築物の居室であること。

✔︎なかなか複雑な条件だが、重複距離においては有効に利用できるので積極的に使うべき

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』『身近な事例から学ぶ 面白すぎる建築法規』他多数の書籍の監修

目次